初診日の特定について
投稿日:2021.03.18
障害年金の請求手続きにおいて、初診日の特定はとても重要になります。
初診日で請求する年金の制度(国民年金または厚生年金)が決まり、保険料納付要件は初診日より前の納付状況で判定されます。また、障害認定日(障害の程度の認定日)は初診日を基準に決まります。つまり、初診日が特定できないことには何も始まりません。
しかしながら、初診の病院が閉院している、カルテが廃棄されているなどの理由で、初診日の証明書が取れない場合もよくあります。
もしご記憶や日記などで初診の病院が分かり、かつその病院が存在する場合は、以下の確認をお願いします。
✓病院が利用している倉庫など、外部にカルテを保管している場所がないか?
✓病院が保管している紙媒体(カルテの要約、診療受付簿等)の他、パソコン上に何かしらの記録が残っていないか?
これらの調査結果(外部倉庫、パソコンのデータ等)をもとに、「受診状況等証明書」(=初診日の証明書)を病院から得られる場合があります。
得られない場合には、所定書式である「受診状況等証明書が添付できない申立書」(日本年金機構HPに掲載されているPDFファイルはこちらです)を作成し、次に受診した病院へ初診に関する資料(病院名や初診日、担当医等)が残っていないか確認します。もし残っていれば、その資料に基づき「受診状況等証明書」の発行を依頼します。次へ受診した病院でも初診に関する資料が見つからない場合、再度「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成し、3番目の病院へ初診に関する資料が残っていないか確認します。この繰り返しを「受診状況等証明書」が得られるまで行うことになります。
その他、初診日の証明が取れない場合の救済策として下記制度・方法があります。
※第三者証明(日本年金機構HPに掲載されているPDFファイルはこちらです)
・第三者証明は、「初診日に関する第三者からの申立書(第三者証明)」にて、知人、友人など複数の第三者に初診日の頃の受診状況を証明してもらい、裏付けとなる資料とともに提出する制度です。これらの提出資料の整合性を確認してもらうことで、障害年金請求者の申し立てた日が初診日として認められる場合があります。
※初診日が一定の期間内にあると確認された場合
・初診日が一定期間内にあることを証明する資料(始期ならびに終期)を揃えて提出し、初診日がその一定期間内にあると確認された場合、障害年金請求者の申し立てた日が初診日として認められる場合があります。
※5年以上前に作成した資料
・初診の病院から証明書を得られない場合であっても、請求の5年以上前に診療を受けた病院が作成した資料(診療録等)に障害年金請求者申立ての初診日が記載されている場合には、その日が初診日として認められる場合があります。(5年は経過していなくても相当程度前であれば、他の参考資料を添付することで申し立てが可能な場合もあります。)
※健診日の取扱い
・原則、健康診断を受けた日(健診日)は初診日として取り扱わないことになっていますが、初診日の証明を得られない場合であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、健診日が初診日として認められる場合があります。
いかがでしょうか?大変、複雑な手続きであり、人それぞれご事情・対応方法が異なります。上記のような方法で初診日を特定することになった場合、年金事務所への相談が不可欠です。また、社労士のような専門家にサポートを依頼し、知恵を出し合いながら少しでもスムーズに初診日を特定する方法を探っていくことになります。